先日、東京医科大での女子受験生の点数操作は女性差別にあたり、時代の流れに逆行していることに触れました。
医大側は女子の離職率の高さなど医療現場の状況を考えると仕方がないというようなことを理由にしていましたが、
諸外国に目をむけると説得力に乏しいことが見えてきました。
また、東京医科大について新たに問題となりそうな補助金の受給が判明しました。
東京医科大に関しては、さらに批判を浴びそうな事実が判明しました。
2013年から3年間、女性研究者の支援に力を入れる大学などを対象とする文部科学省の「女性研究者研究活動支援事業」に選ばれ、
約8000万円の補助金を受け取っていたと報じられました。
女子受験生の点数操作をしているまさにその時に、女性研究者支援に力を入れるとして、補助金を受け取っていたのです。
このことで、東京医科大はさらなるイメージの低下は免れられないでしょう。
大学の営利追及のためにやってきたのでしょうが、
本来のあるべき姿を忘れ、不正行為に手を染めてしまっては、その代償は高くつきそうです。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の女性医師の割合について厚生労働省の資料があります。
平均は44.8%のなか、日本はその半分の20.4%です。
イギリス、ドイツ、フランスは40%を超えていて、日本は先進7か国で最低という状況にあります。
北欧のエストニアでは73.8%が女性医師です。
結婚や出産での離職での人手不足や、外科の厳しい現場では務まらないという理由は、
言い訳にならないのではないでしょうか。
今回の問題は、女性差別として海外でも報道されたといいます。
日本の倍以上の割合の女性医師がいる諸外国は、女性差別のこの言い訳をどう考えたでしょうか。
女性差別の理由の説明が、かえって、日本の医療現場を取り巻く環境整備が、
国際的に見て遅れていることを浮き彫りにしたようです。
日本は1985年女子差別撤廃条約を批准し、翌年には、結婚や出産を理由とした不利益な扱いを禁じた男女雇用機会均等法が施行されました。
以降、女性の社会進出の環境を作る努力がなされてきました。
だが医療の分野においては、まだまだ女性を取り巻く環境は旧態依然としているようです。
今回の不祥事の発覚をきっかけにして、日本の医療現場を取り巻く環境が改善に向けて大きく動くことを祈ります。