東京医科大で女子と3浪以上の男子の受験生の合格者数を抑制していた問題で、
得点操作の方法を記述したマニュアルの存在が報じられました。
東京地検特捜部も文部科学省の汚職事件の捜査過程で入手しているといいます。
これを把握していたのは、臼井正彦前理事長、鈴木衛学長、入試を担当する学務課長だけでした。
マニュアルは前理事長の指示で学務課長の間で引き継がれていました。
得点操作を秘密にするためで、操作は課長が行っていて、他の課員や入試委員には知らされていませんでした。
得点操作は前理事長の指示で行われ、「誰にも言うな」と口止めされていたことも分かっています。
最終的に合否を判断する入試委員にも操作後の得点しか知らされず、
委員の中で学長だけが例外で、操作を知っていたといいます。
学務課長は、今回の問題が発覚した後、周囲に「断れなかった」と話しているといいます。
学務課長に就任し、理事長から、不正に目をつぶるどころか、
実際に得点操作をするよう迫られ、どのような気持ちだったでしょうか。
学務課長には、理事長と近い関係の職員が選ばれていたといいます。
普通の職員であっても、理事長から指示されれば断れるものは少ないでしょう。
理事長の抱え込みの職員であれば、良識に反すると分かっていても、長いものに巻かれてしまうでしょう。
最近、報じられるの組織の不祥事を見ていると、トップに問題がある組織は自浄作用が働くことが難しいことが分かります。
レスリング、日大アメフト部、ボクシング等いずれも、
トップに都合のいい体制を作り上げ維持することに躍起になっているように見えます。
これらは、実際に目に見えて、不自然なことや理不尽なことが起こったため、問題が発覚しました。
しかし今回の操作は、さらに問題のある悪質なケースでしょう。
普通にしていれば、受験生は受験結果を受け入れるしかない上に、
入試委員などの大学内部の者にさえ操作は秘密にされていました。
上記スポーツ団体の問題に比べて、非常に問題が露見しにくいように思えます。
今回は文科省の問題で操作のメスが入ったため、問題の発覚につながったのです。
しかし、この汚職事件がなければ、今後も何食わぬ顔で入試操作が行われていたことでしょう。
組織を運営する立場であれば、本来、何のための組織なのかを、常に忘れずに意識している必要があるのではないでしょうか。