全国の自治体で、給食費の値上げが相次いでいるようです。
近年の天候不順やや不漁で野菜や魚の価格が高騰していることが原因です。
各自治体は様々に節約を試みたようですが、とうとう限界が来たようです。
値上げに踏み切らなければ、必要な栄養が維持できないといいます。
多くの自治体では、給食費は原則として保護者の負担です。
近年、食材の値上がりが続き、自治体は給食費を値上げせずにおくために、節約を試みてきました。
例えば、魚をちくわに変えたり、牛肉を出していたものを鶏肉にするといった、安価な食材への変更や、
果物などデザートを半分にしたり省いたりするなどで対応してきたといいます。
しかしそれも限界に達し、現状の給食費では必要な栄養水準を維持することが不可能な状態となってしまったようです。
こうなると、給食費の値上げも仕方のないものなのかもしれません。
給食費に関しては家計にとっても負担の大きいものです。
行政が支援に乗り出すことが必要なのではないでしょうか。
こうした中で給食費が無償化されている自治体もあります。
文部科学省の今年7月の調査があります。
これによると、全国1720の自治体のうち、
小中学校ともに無償化されているのは76自治体、
小学校のみが4自治体、
中学校のみが2自治体となります。
それ以外に一部無償化や一部補助がなされているのは424自治体ということです。
では、どのような経緯で給食費の無償化が実現したのでしょうか。
調査結果では以下の例が挙げられています。
首長の公約や意向、議会の議論、自治体の施策の一環、PTAからの要望といったものです。
無償化の目的としては、保護者の経済的負担の軽減による子育て支援、少子化対策、
定住や転入の促進といったものがあげられています。
こうした自治体の特徴として人口が少ない市町村であることが共通しています。
少子高齢化による、高齢者人口の割合を抑えることや、
自治体の人口の増加を期待しての給食費の無償化であることが分かります。
給食費の無償化が実現している自治体の特徴を見てみますと、
一定規模以上の自治体では、給食費の無償化は難しいのではないかと思われます。
行政が給食費を支援するために使われる財源は税金です。
そうなると、小中学校に通う子供を持つ家庭以外の住民の賛同を得られない可能性が高くなることが考えられます。
小中学生の子供のいない住民の立場としては、直接に恩恵を受けられないからです。
人口の少ない自治体の場合は、人口減少や少子高齢化の問題が、
小中学生の子供のいない住民にとっても切実な問題と感じられるようになっているため、
その対策のために給食費の無償化を受け入れやすいのだと思います。
現在、日本では国全体で少子高齢化が進んでいます。
子供を作りやすい社会環境を整えることは、いま日本にとって課題となっているようです。
給食費に対する行政の支援はそういった環境作りにつながるのではないでしょうか。