入学式や卒業式で君が代が流れるとき、起立して歌わず戒告などの処分を受けた都立高校の元教職員22人が、
そのことが理由で定年後の再雇用を拒まれたのは違法だと訴えた裁判で、最高裁は7月19日に原告側の敗訴を言い渡しました。
再雇用するかどうかは雇う側の裁量に委ねられていて、当時は希望者は原則再雇用するという制度もなかった。
不採用の判断には合理性を欠くところはないとしました。
日本の国旗国歌については、軍国主義と結びついていて、そのことを意識してしまう人がいることは事実でしょう。
国旗国歌にどう向きあうかは、個人の歴史観や世界観に関わる微妙なものです。
憲法は思想・良心の自由を保障していますが、公務員に関してのある程度の制約については難しい問題だと思います。
1999年の国旗国歌法の成立のとき、小渕恵三首相は「新たに義務を課すものではない」と述べました。
野中広務官房長官も「むしろ静かに理解されていく環境が大切だ」と述べました。
考え方の異なる多くの人への配慮があったのでしょう。
しかし、東京で教育長が2003年に「校長の職務命令に従わない場合は服務上の責任を問われる」と通達を出しました。
ここから強制が始まったといいます。
公務員は国や自治体に雇われて、公のための仕事に従事するものではないでしょうか。
公立の学校であれば、教師も公務員です。公立の学校であるならば、式典での国歌斉唱はあるものと考られます。
もし、国歌に抵抗がある場合は、最初から国歌斉唱のある公立学校の教師ではなく、
私立学校の教師など、国歌斉唱のない学校を目指せばよかったのではないでしょうか。
それを選ばず、何か理由があって公務員となったのであれば、国歌については受け入れるべきなのではないかと思います。
ただ、今回の問題の、再雇用を拒むということが行き過ぎた重い処分なのではないかという点については、
2013年以降は国歌斉唱をしなかった教員も希望者は再雇用されるようになっていることを考えると、
やはり重かったのではないかと思います。