法務省が無戸籍問題の解消のために、法改正を視野に入れた研究会を設置することになりました。
初会合は10月の予定です。
この問題は、親が出生届を出さないために、戸籍に記載されず、無戸籍となってしまうものです。
無戸籍者は法務省が把握しているだけで、715人だといいます。
ただ、これは氷山の一角で、無戸籍者は1万人を超えるとの支援団体は推計しているようです。
では、なぜ出生届を出さないという事態になってしまうのでしょうか。
これには、民法の嫡出推定の規定が関係しています。
民法772条に規定されているものなのですが、
というものがあります。
この規定により、夫との関係の悪化などで、夫から逃れ別の男性と子供をもうけた場合などに、
夫の戸籍に記載されてしまうことを避けるために、出生届を出さないようです。
嫡出推定の否認の訴えを起こせる権利は、現在は夫のみとなっています。
しかし、夫と深刻なトラブルを抱える女性は夫の協力を得ることも難しく、
また、夫から身を隠しているケースなどもあります。
このようなことから、無戸籍の問題が生まれてしまうようです。
無戸籍になってしまうとどのような困難があるでしょうか。
住民票やパスポートの取得が難しくなります。
本人名義で、賃貸物件を借りたり、携帯電話を持ったり、銀行口座を開くことも難しいようです。
こうしたことを解消するため、嫡出推定の否認の訴えを起こせる権利を、
母や子に拡大することについても話し合われるようです。
無戸籍問題は子供からしてみたら、自分ではどうすることもできない事情によって、生じた不利益です。
こうしたことについて、自分から訴えを起こせないというのは、とても不合理なことなのではないかと思えます。
このような子どもの権利がきちんと守られるよう、法律が整備されていってほしいと思います。