自民党総裁選の投開票日が20日に迫っています。
安倍総理と石破氏が憲法改正について報道番組で語っていました。
そこで、石破氏が憲法改正については広く国民と問題を共有して理解を求め考えていかなければいけない、
というようなことを発言していました。
これに対し、安倍総理は具体的な改憲の条文案を国民に見せなければ、理解を求められないと返していました。
果たしてそうでしょうか。
憲法の問題や改憲案については新聞等マスコミでは折に触れ解説などされています。
しかし、石破氏からこのような発言がされるということは、
政権である自民党からの国民への説明が不足していると感じているからではないでしょうか。
実際、日本においては憲法に対する理解を深める機会が不足しているように思われます。
憲法は現在の日本の社会制度の基礎であり、民主主義の基礎となるもので、
日本の法律はすべて憲法に反することは許されないようになっています。
このような大事なものですから、改正について考えるなら、
まず現在の憲法における問題はどこにあるのか、改正するにあたっての難しさなどがどこにあるのかという問題を、
丁寧に国民に説明し国民一人一人が改憲について考えられるような状況を作ることが大事なのではないでしょうか。
そのうえで、改正条文案を政権が提示したとき、
それぞれの国民が自分なりに憲法改正問題について考えたものと比較することができ、
より深く政権による改正案を吟味できるのだと思います。
こうしたプロセスを経ないでいきなり改正条文案を提示するというのは、
国民に憲法自体について考える機会を与えずに、単に政権の改正案に賛成か反対かだけを迫るものになってしまいます。
あくまでも、現憲法では主権は国民にあり、国民が正しく主権を行使するためには、
政府は適切な情報を国民に説明しなければなりません。
このように、政府の国民に対する説明責任は憲法からも要請されています。
森友、加計問題についてもそうですが、安倍総理については、国民に対する説明が不足しているように思えます。
国民のかなり多くがこの件については、安倍総理の説明に納得ができていないというアンケート結果が報じられていました。
憲法は国の根幹となる最も重要なものです。
憲法を変えるということは実際に国の在り方を変えることに等しいといっても大げさではないでしょう。
憲法を変えることは一部の条文を変えるということであっても、
国民全体が問題意識を持ち理解を深め考えたうえで決めていかなければなりません。
憲法は国家権力を縛るために存在しているものです。
国家権力から国民を守るために憲法はあります。
政権主導の憲法改正であるなら、なおさら安倍政権は国民に対して懇切丁寧に説明をして理解を広めなければならないし、
国民一人一人が問題意識を持つよう働きかけていかなければならないと思います。