政府が漢方薬の効能についてビッグデータを活用する方針を固めました。
薬1種類につき100万人規模のデータを集め分析するということです。
漢方薬は複数の植物の組み合わせでできています。
日本の漢方だけでなく、源流となったインドのアーユルベーダや中国の中医も含めて考えると、
薬は数万種類にもなるといいます。
漢方薬は既成のものもありますが、専門医師が患者に合わせて、様々な種類のものを分量を変えて調合するものもあります。
効能の理解は経験に基づいていて、科学的には仕組みがよくわかっていないものも多いといいます。
漢方薬は副作用が少ないものですが、全くないわけではないようです。
これから、診察記録などで漢方薬の使用状況などを分析し、効能を確かめ、
効果的な服用の期間や方法を調べるということです。
既成の漢方薬であれば、すべて同じものなので、
どのような人にどのような効果があるのか分析していくことは意味があるように思います。
しかし、個人に合わせて調合したものの場合、同じ配合の薬は非常に少ないことが予想され、
統計的な処理での分析が機能するか疑問があるような気がします。
なぜなら、漢方薬は西洋医学と違って、患者の状態全体を診て薬を調合するからです。
西洋医学の場合は、病気の原因となるところを直接治療して直すようにします。
例えば、怪我であれば怪我した部分を治療しますし、
病原菌が原因のものの場合、その病原菌を直接退治して直すような治療です。
しかし漢方薬の場合は、患者を診て、身体全体の調子を整えるように薬を調合するのです。
身体全体を診て全体がうまく流れていくようにバランスを調整するような感じです。
そのため、患者によって薬の調合は変わっていき、全く同じ薬が処方されるとは限らないのです。
同じ症状であっても、身体全体を診るとバランスを整える部分が患者によって違うからです。
このようなことが調合薬に関してビッグデータの活用が難しいのではないかと感じた理由です。
決められたレシピで作られた既成の漢方薬であれば、ビッグデータの蓄積による分析は期待できるのではないかと思います。
分析検証には10年ほどかける予定ということですが、どのくらい漢方薬の効能の解明が進むか楽しみです。