酒気帯び運転で道路交通法違反に問われていた男性が、
入れ歯安定剤に含まれるアルコールが検知された可能性があるとして、
東京高裁で逆転無罪となりました。
酒気帯び運転は、呼気1リットル中0.15ミリグラム以上の濃度のアルコールを帯びた状態で、
自動車などを運転することとされています。
公益財団法人・交通事故総合分析センターによると、
体重75キロの男性がビール1缶(350ミリリットル)を飲むと基準を超えるといいます。
1審では、前夜に飲酒していたこと、安定剤の使用から20分以上経っていたことから、
安定剤の影響はなかったとして有罪としました。
2審では、男性が検査の直前に入れ歯と歯茎からはみ出た安定剤を指で取り除いていたことを重視しました。
公判の中で、同じ条件で再現実験をしたところ、飲酒していない状態でも基準を超えるアルコールが検知されたのです。
こうして、1審判決が破棄され無罪の判決がなされたのでした。
担当弁護士は、安定剤の影響は一般には知られていないため、
これまでも同様のケースがあったのではないかと指摘しています。
交通事故に詳しい識者は、呼気検査の在り方に再考を促す判決で、
今後は安定剤の使用を確認するなど、慎重な対応が求められるだろう、と語っています。
調べてみると、車の運転に携わる職種の方は、呼気検査を会社ですることが多く、
入れ歯安定剤もアルコールが検知されることを知っていたようです。
入れ歯安定剤以外にも、洗口剤、栄養剤、缶コーヒー、酵母入りのパンなどからもアルコールが検知されることがあるようです。
ただ、そうした会社以外の一般の人までには、そういった知識は伝わっていなかったようです。
また、歯科医師の方でも、入れ歯安定剤でアルコールが検知される可能性があることを知らなかった方もいるようでした。
上記の例を見ると、多くの人が知らずにアルコールが検知されてしまうものを口にしていることがありそうです。
今後、アルコール検知の可能性のあるものについて広く知られるようになることが望まれます。