8月12日、カスピ海の領有権論争が決着しました。
カスピ海沿岸5か国の首脳会議がカザフスタンのアクタウで開かれ、
主権の及ぶ水域の範囲や、外国の軍隊を入れないということで合意されました。
カスピ海の領有権については、以前は1921年のソ連とイランの協定がありました。
しかし、1991年のソ連崩壊によって、沿岸国が5か国に増えたこと、
1990年代に天然ガスなどの資源が発見されたことで、領有権争いが起こっていました。
現在のカスピ海沿岸国はロシア、イラン、カザフスタン、アゼルバイジャン、トルクメニスタンの5か国です。
主な争点はカスピ海が「海」か「湖」か、ということだったようです。
カスピ海の広さは日本の面積と同じくらいです。
「海」の場合は、沿岸から一定の範囲だけが領海となりますが、「湖」の場合はすべてを領海として分けることができます。
イランは自国の沿岸の資源が少ないため、「湖」とみなし、湖全体を均等に切り分けたかったのです。
今回は、解決を急ぎたかったという事情で、この「海」か「湖」かの定義づけの問題は棚上げされたようです。
5か国の大統領が「カスピ海の法的地位に関する協定」に署名をしました。
事実上の領海は各国の沿岸から15カイリ(約28km)で、その外に排他的に漁業ができる水域が設定されました。
カスピ海の湖底にパイプラインを設置することもできるようになりました。
ただ、地下資源の分配は各国の協議に委ねるということで、今後の問題となりそうです。
今回の合意が急がれた理由は、カスピ海でのアメリカの船舶の使用があったようです。
アメリカと良好な関係を築きたいカザフスタンが、アフガニスタンの復興支援のために許可したものでした。
ロシアとイランはともにアメリカの経済制裁を受けているため、そのことも影響しているようです。
また、カスピ海はロシアにとって重要な拠点であることも、アメリカを締め出したかった理由と見られます。
アメリカという他国との関係悪化が理由となっていることは残念ですが、
問題が解決に向かったことは望ましいことと思います。
日本も他国と領有権について問題を抱えていますが、長い時間がかかったとしても解決に向かって動いていくことを祈ります。