法律による行政の原理は、行政法で最も重要な基本原理です。
これは、行政活動は法律に基づいて、法律に従って行われなくてはならない、ということです。
この原理は、国会が制定した法律に基づいて行政活動が行われなければならないことや、
もし法律に違反した行政行為が行われた場合、裁判でこの違法性を認め、
法律に違反しないよう回復するような仕組みを整えることも求めています。
必ず法律で定められなければならないとされるものに、法規があります。
法規とは、国民の自由を制限したり、義務を課す内容の事項を指し、これは必ず法律によって定められなければなりません。
法規ではないものにも、法律で定めることが望ましいものがあります。
例えば、ある組織がどのような構成になっているのか、などは法規ではないとされます。
しかし国家機関がどのように組織されているかは、
民主的に考えると不透明にならないよう法律で定められることが望ましいです。
そのため、内閣法や国家行政組織法などが定められています。
法律の分類として組織規範、根拠規範、規制規範という分類があります。
組織規範は行政組織についての定めです。
根拠規範は、行政機関が行政活動を行うための根拠を定めたものです。
規制規範は、行政活動の手続きのやり方を定めたものをいいます。
法律による行政の原理の内容は、法律の法規創造力、法律の優位、法律の留保の3つがあります。
法律法規創造力は、法律だけが法規を創ることができるということです。
法律の優位は、行政活動をするときに、その内容について法律が定められている場合は、
行政はそれに従って活動しないといけないということです。
法律の留保は、様々な行政活動の中で、どのような行政活動が法律の根拠が必要かというものです。
この法律の留保については、いまも議論が続いている問題のようです。
現在の通説は侵害留保説がとられています。
これは、国民の権利を制限したり義務を課すような侵害行政についてだけ、法律による根拠が必要だというものです。
行政が国民に対して及ぼす作用は行政作用と呼ばれ、いくつかに分類されて研究されています。
行政作用には次のような分類があります。
これらの詳しい内容については後日、見ていけたらと思います。
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行政法の基本構造について
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行政法の一般原則について