行政法とはどのようなものでしょうか。
行政法という名前の法律はありません。
私たちの日常生活に身近に関わる行政についての様々な法律をまとめて行政法と呼びます。
例えば、鉄道会社は鉄道事業法という法律の規制を受けます。
鉄道会社は株式会社ですが、公益事業でもあるので、勝手に運賃値上げなどできないようにするためです。
運転免許証は、道路交通法に基づいています。
道路は道路法によって管理されますし、公園は都市公園法が管理しています。
このような行政に関わる法律は1900あるといいます。
行政法を勉強する場合は、これをすべて勉強するわけではありません。
これらの法律に共通する考え方や仕組みがあり、
その理論を学ぶことで、行政に関わる法律全体について理解を深めるようになっています。
国家権力の一つで、憲法で、国会の立法権、裁判所の司法権とともに行政権として内閣に割り振られています。
権力が集中しないための権力分立で憲法でこのように定められています。
行政の定義は、控除説がとられています。
これは、国家の作用から、立法と司法を除いたものという定義です。
行政はあまりに広い分野にわたっていて、その全てを厳密に定義することは難しいため、
このような消極的な定義となっているようです。
このような大きな枠を定め、その中で内容別に分類して整理されているようです
行政には侵害行政と給付行政という区別があります。
侵害行政は、市民の自由や権利を制限するようなもので、
例えば、課税処分や建築規制、交通規制、営業規制などがあります。
給付行政は、国民に便益を提供するもので、
例えば、道路、公園、橋などを作ることや、学校を建築し教育を行うことがあります。
憲法と行政法について
憲法は最高法規であり、すべての法律の頂点にあります。
すべての法律は憲法の内容に沿うものでなければなりません。
憲法と行政法は同じ公法という分類がなされます。
公法とは、国家と市民の関係に関わる法律のことです。
憲法は理念的なものを定め、行政法は生活に関わる現実的な内容を定めます。
そのため、行政法を考えるときは、憲法の理念が背後にあることを意識すると理解がしやすくなります。
例えば、情報公開制度であれば、国民主権原理や知る権利とつなげて理解したり、
行政訴訟制度については、権力分立原理や裁判を受ける原理とつなげて考えるようにするなどです。
民事法と行政法について
民事法は私人間について定めた法律です。
行政活動に関しては、以前から「私法への逃避」という問題があります。
これは、行政の権力行為が法律に拘束されていることを、官民がともに窮屈に感じることから起こる問題です。
契約や協議は権力行為ではなく私法的な手続きのため、行政法の拘束から逃れるため、利用されるようです。
私法的行為だからといって、私人のような自由な行政活動は問題があります。
このような問題を予防するため、公益を保つための仕組みについてさらなる整備が課題のようです。
次の内容はこちらです。
法律による行政の原理について